なぜ予備調査が必要なのですか?
2017/10/30
なぜ予備調査が必要なのですか?と聞かれることがあります。
一言で言うのは難しいのですが、
監査は原則として試査という手法で行われるからです、
とお答えしています。
試査?
あまり聞きなれない言葉かもしれません。
試査とはなんでしょうか?
試査の対義語は精査です。
精査と言うと一般的には詳しく調べることという意味ですが、監査用語として使用される時は、会計処理などをひとつひとつ全て調べることを言います。
現実問題として、法人の1年間の取引を大きいものから小さいものまで全て残らず適切に会計処理されているかを確認することは不可能です。
仮に比較的小規模な法人であれば可能だとしても、公認会計士が毎日監査しに来るとなると監査費用も桁が変わってきてしますし、総務や経理の方が毎日監査対応に追われるというのも現実的ではありません。
トヨタ自動車のような超大企業では、日本中の公認会計士を年間365日動員しても精査により全取引を検証することは不可能でしょう。
そこで精査ではなく、試査という手法で監査が実施されているのです。
試査とは、監査の対象となる母集団から一部の項目を抽出して監査を実施することをいいます。
公認会計士監査では、全ての取引をチェックするのではなく、誤りの起こりそうな場所や、誤りが起こったとしたら影響が大きい場所に狙いを定めて、その部分をサンプルでチェックするのです。
この誤りの起こりそうな場所や、誤りが起こったとしたら影響度が高い場所のことをリスクと呼び、監査を実施する公認会計士は、このリスクを重点的にチェックすることで、監査を効率的にかつ有効に実施しているのです。
ここで一つ疑問が湧きませんか?
じゃあ、チェックしなかったところで誤りがあったらどうするの?と。
そうなのです。精査でない以上その可能性は常にあります。
少し長くなってきたので、続きは、公認会計士しか知らない監査の秘密①に譲ります。