監査費用は安ければ安いほど良い?②
2017/10/24
例えば、病床数100床、医業収益が15億円程度の社会医療法人の例を考えてみましょう。
医業収益が15億円程度であれば、比較的安価な公認会計士事務所であっても適切な監査を実施するには少なくとも240万円前後の費用は発生してしまうと思います(算定根拠は、"当事務所の監査費用"をご参照ください)。
この時に、200万円位の見積りを出す公認会計士事務所があれば、それは企業努力の範囲内かもしれません。
しかし、80万円とか120万円等の見積りが出ることは、ほぼありえないことです。
これは、当事務所が不当に高い報酬を得たいからということでは決してありません。
万が一そのような見積りがあった場合、それは残念なことですが、
①経験の浅い若手スタッフばかりを使う
②監査に時間をかけずいいかげんな監査を行う
③とにかく仕事がなく食べていけないので、どんな低価格でも仕事を請け負う
のいずれかのケースに該当することが大半と思われます。
それでもいいからとにかく安く済ませたい場合には、それらの公認会計士事務所と契約することもありかもしれません。
念のため、弊害を記載しておくと、①、②の場合は適正な監査が行われない可能性が極めて高くなります。
医療法人、社会医療法人の監査は法律でその実施が義務付けられる法定監査になりますので、適正な監査が行われていなかった場合は、その監査を実施した公認会計士が処分されるだけでなく、過年度に遡って監査のやり直しが求められたり、その後行政からの指導が必要以上に入るという可能性も考えられますし、いい加減(不十分)な監査のせいで決算に対する銀行からの信用も失われてしまうかもしれません。
また、①の場合は、必要な監査手続きを実施できなかったり、逆に不必要な手続きを実施してしまうなど、監査の対応をする法人職員の手間が煩雑になる可能性もあります。
監査費用も適当についているわけではありません。
自動車など他のものと同様に安ければ安いなりの、高ければ高いなりの理由があります。
医業収益が15億円程度の社会医療法人であれば、
概ね240万円前後が、
比較的低額でありながらも適正な監査が実施できる金額だと思われます。
100万円という金額もまずありえませんし、500万円という金額も高すぎると思います(但し、大手の監査法人の場合は500万円以上もあり得ます)。