会計監査人候補者の選び方~厚生労働省の検討会資料より~
2016/08/25
平成28年度に入り、厚生労働省では社会福祉法人の財務規律の向上に係る検討会が開催されています。
4月に第1回の検討会が開催され、資料が公表されました。
その資料の中で、会計監査人候補者の選び方についての資料がありましたので、見ていきたいと思います。
7月に提案書と見積書を入手し、8月に選定とあります。
結構、急ぎのスケジュールですね。
クライアントの理事長に周りの法人の様子を伺ってみました。
具体的な検討に入っているという法人もありますが、29年度から監査が必要ということを最近知ったという理事長も少なくないようで、具体的な監査人候補者の検討に入っている社会福祉法人は、まだそう多くはないようです。
上記はあくまで理想的なモデルケースといえ、実際にはもう少しずれ込んでいきそうです。
もし、複数の会計監査人候補者から提案書や見積書を入手して比較検討する場合、選考基準として次のような項目が例示されていました。
(1)監査実施体制等の評価
①当該法人に対する監査の基本方針及び考え方(着眼点や重点項目)
②主要な監査手続き及び監査要点
③法人本部及び施設等を監査するチーム体制
④監査スケジュール
⑤監査の責任者及び担当者の経歴及び実務経験等
⑥監査の指導的機能に対する考え方
⑦監査のサポート体制
⑧監事、内部監査担当部門との連携に関する考え方
(2)監査費用の評価
①監査報酬見積費用総額(見積り、積算の方法を含む。)
②監査日程(日数)の大幅な変更が生じたときの処理方法
(3)監査実績等の評価
①監査実績
②社会福祉法人に対する監査実績、非監査実績(会計指導、経営支援等)
③公益社団・財団法人、一般社団・財団法人に対する監査実績、非監査実績(会計会計指導、経営支援等)
④当該法人が実施している事業と類似の事業を実施している組織の監査実績、非監査実績(会計指導、経営支援等)
⑤日本公認会計士協会又は公的機関における社会福祉法人制度に関係する部会等への関与実績
(4)品質管理体制の評価
①品質管理の体制(公認会計士協会の定める監査の品質管理に関する指針等に即した品質管理を行っているかなどを評価)
②会計監査人候補者に関して公認会計士法に基づく処分がある場合はその内容とこれに対して取った措置(過去○年間)
もちろん、これらは例示なので、各項目については各法人の任意であると記載されていました。
全ての項目を網羅する必要はないと思いますが、考慮すべきポイントが概ね網羅されている良い資料だと思いますので、これらの項目を参考にポイント付けして会計監査人を選定しても良いかもしれません。