社会福祉法人に精通した公認会計士を選ぶべき3つの理由
2017/10/16
別に社会福祉法人に精通した公認会計士でなくても、いいのではないかと思われるかもしれません。
会計監査人の要件として法律で定められているのは、社会福祉法人に精通した公認会計士ではなく公認会計士という条件だけですから、もちろんそれでも構わないと思います。
しかし、社会福祉法人側のメリットを考慮するとやはり、
社会福祉法人に精通した公認会計士と契約することをお勧めします。
よく言われる例えですが、医者に専門があるように公認会計士にも得意不得意があります。
心臓の手術をするときに、耳鼻科には行かれないと思います。
法律上は医師でありさえすればよいので、耳鼻科の医師が心臓の手術をすることに法律上の問題はありません。
でも耳鼻科の医師に心臓の手術はお願いしたくないですよね。
ほとんどの公認会計士は一般企業を主要な顧客としています。
従って、これまで社会福祉法人に対して何らかの会計・税務・コンサルティング業務を提供したことがなく、そもそも社会福祉法人が何なのかよくわかっていないという公認会計士も多くいます。
これは、社会福祉法人の皆様が公認会計士や監査法人のことをよく知らないことが多いのと同じようなことです。
もともと公認会計士の資格というのは、広く世間に大きな影響がある上場企業や大企業の決算が適正に組まれているかを確認してお墨付きを与えるために制度化された資格ですので、それは当然のことです。
一方、社会福祉法人の財務諸表は、一般企業が作成するものと異なります。
事業活動計算書や資金収支計算書など、社会福祉法人特有の書類についても見たことがない公認会計士がほとんどです。
おそらく、日本の公認会計士の99%は社会福祉法人の財務諸表の現物をこれまで見たことがありません。
そのため、社会福祉法人に精通していない公認会計士が監査を行うと、監査時間が増加します。
そのことによるデメリットは3つです。
①監査に対応するための社会福祉法人側の準備や時間が増加する
②監査費用が増加する
③適切な監査が実施されない可能性が高くなる
社会福祉法人側や精通した公認会計士にとっては常識であったり、当然のことなども確認されたりするなど、監査対応の手間も多く取られることになるかもしれません。
また、監査に時間がかかるということは、それだけ公認会計士の人件費がかさみ、監査費用が高くなるということでもあります。
監査の結果として提出される監査報告書に違いはありませんので、信頼ができ比較的低額で監査を実施してくれる公認会計士であれば社会福祉法人に精通していなくてもいいかもしれません。
しかし、法人の事業をよく理解している公認会計士に依頼する方が、効率的に必要十分な監査を比較的低額で実施してもらえる確率はより高まると言えます。
このような事情から、
法律的にはどちらでも良いが、社会福祉法人に精通した公認会計士の方がメリットは多い
と思います。