予備調査ではどんなことを確認するのですか?
2016/08/26
公認会計士は監査契約を締結する前に必ず、予備調査というものを実施します。
この予備調査の結果いかんによっては、公認会計士の側から監査契約を断られることもあります。
そうは言っても通常の事業をきちんとされている分には問題はありませんので、ご安心ください。
確実に監査契約をお断りするケースを一言でいうと、
経営者との信頼関係が構築できそうにない場合です。
例えば
・理事長が意図的に粉飾決算をしている
・反社会的な勢力とのお付き合いが疑われる
・違法な取引を行っている
・適法ではあっても、社会通念上適切ではない取引をしている
などです。
通常はこんなことはありませんが、 まずは大前提としてこのような事実がないことを確認したうえで、この予備調査では、監査を受ける社会福祉法人が、監査に協力できるだけの体制が整っているか、監査に対応できる内部統制が整備されているかどうかを確かめます。
では、予備調査で確認される内容を見ていきましょう。
①法人の概要
法人の概況を把握するため、沿革、事業内容、経営方針、資本・借入、役員及び関係職員の氏名、取引先、関連会社など、監査のために必要な重要事項について、経営者や幹部へ質問し、書類を閲覧します。
②法人の管理体制
法人の諸規定を閲覧し、業務管理体制について経営者や幹部へ質問します。
③法人の決算・経営計画
経営成績、財政状態などを把握するため、過年度の財務諸表や申告書及び予算や経営計画などを閲覧し、経営者や幹部へ質問します。
このような予備調査を経て、この社会福祉法人の監査を受諾しても公認会計士としての責任をきちんと果たすことができると判断すると、公認会計士は依頼を受けた社会福祉法人と監査契約を締結します。
文字にすると予備調査の段階でとても厳しいチェックをされるのではないか、ウチの法人は監査に耐えられないのではないかと尻込みしてしまうかもしれません。
しかし、心配することはありません。
これから監査を受けようとする社会福祉法人に、上場企業と同じようなレベルでの管理体制が求められるわけではありません。
前述したように法律に反する行為をしているなど、明らかに経営者との信頼関係が構築できないと思われる場合を除き、きちんと法人運営をされていれば、予備調査で監査契約そのものを拒否されるケースはほとんどありませんので、ご安心ください。
もちろん、監査を受けて頂くに際して改善して頂きたい点はいくつか伝えられると思います。
その点を改善していけば良いのです。
それを改善することは監査のためだけではなく、法人の管理体制の強化につながることでしょう。
では予備調査はいつ受けたらよいのでしょうか?
特に初めて監査を受けられる法人では、予備調査の結果、改善が望まれるポイントが複数指摘される可能性も高いです。
中には改善するのに時間を要するものもあるかもしれません。
監査初年度は監査対応でも勝手がわからず手間がかかる部分があります。
それに加えて改善作業もとなると大きな負担となる可能性もありますので、予備調査は早めに受けることをお勧めいたします。
具体的には、
監査契約をする半年前くらい
に受けておけば、比較的余裕を持って初年度監査に備えることができると思います。
ちなみに予備調査の費用ですが、監査契約を前提とすることでかからないケースと監査契約とは別に予備調査の費用もしっかりとかかるケースの双方があります。
公認会計士や監査法人によって対応が変わってきますので、詳細は監査契約を検討している公認会計士に直接お問い合わせください。
当事務所においては、会計監査人の職責を果たすため、適切な予備調査は必ず実施いたしますが、予備調査の費用は頂いておりません。